民放テレビ局 内定のツボ① 「差別化」を突き詰める

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”若者のテレビ離れ”と言われて久しいものの、就職となったら話は別。大人気企業の筆頭格が、テレビ局ですね。その中でもキー局、準キー局と呼ばれる民放各社の人気は群を抜いていて、入社倍率が最も高い業界の一つといえるでしょう。

とはいえ、決して”就活お化け”しか入れないわけではありません。私のような”ふつうの人間”がいかに戦っていくか、そのツボとなるのが、あらゆる面での”差別化”です。

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他の受験者との差別化

こだわりを見せ、「〇〇のやつ」と印象づける

職種ごとに選考が行われる新聞社と違い、アナウンサーなど一部を除いて全職種一括採用が原則となっている民放各社。採用枠が同じだからこそ、バラエティ番組の制作を志望していても、他のジャンルの制作部や、報道局、スポーツ局、あるいは営業系への配属も想定した戦い方が求められます。民放各局の仕事内容は本当に多岐にわたるので、「どこでも使える」と思わせる必要性が、他の業界よりも大きいといえるでしょう。

とはいえ、あまりにも受験者の多い業界だからこそ、“オールラウンダー”的なアピールの仕方では埋もれてしまう方がほとんどでしょう。どうしてこの局で働きたいのか、“こだわり”を見せること、そしてその“こだわり”から、「〇〇のやつ」と印象づけることが、選考を勝ち抜いていくツボになってきます。

「〇〇の被災地で育ち、テレビで災害報道に携わりたいと思った」

震災を直に経験した人自体の数は少なくはないかもしれませんが、災害報道に関わりたいという気持ちは強く伝わります。「災害報道やりたい子ね」と覚えてもらいやすくなるでしょう。

「『世界ふしぎ発見!』を見て人生が変わった。自分もこんな番組をつくりたい」

『世界ふしぎ発見!』の魅力をひたすら訴えていたら、「ああ、『ふしぎ発見』の子ね」と覚えてくれることでしょう。でもこれは、『世界の果てまでイッテQ!』だと、ベタすぎるため、少し工夫が必要になりそうです。

このように、あらゆる配属の可能性があったとしても、明確に「これがやりたい!」という軸は必ず必要です。

 

「他でも使えそう」と思わせる

ただし、その「これがやりたい」という軸は、できれば他の職種にスライドできる余地を残しておきたいところ。バラエティ番組をアツく志望する人でも、例えば「人に笑顔を」という軸であれば、ドラマや報道だって実現できる要素はあるでしょう。

一つのこだわりを持ちつつも、「他でも使える」という余地を残すことで、企業側は安心して採用することができるというわけです。ある意味、入社時の段階では、いわゆるスペシャリストよりジェネラリストが求められる形です。異動が比較的多いため、最初は業総務系の仕事をやって、そのあとに制作や記者などの仕事をやる人もたくさんいます。 “なんでもできるやつ”だと思わせましょう。

ほか、他の受験者との違いを見せるための具体的な考え方は以下の記事も参考にしてみてください。

【マスコミ就活】”差別化”以前に”賢く見せる”ことが大前提

【マスコミ就活】他の受験者と“差別化”するためのポイント

他の映像メディアとの差別化

民放各局を受験するにあたり、必ずと言っていいほど求められるのが、「他の映像メディアとの比較」です。NHKはもちろんのこと、スポンサー収入に縛られず良質なコンテンツを作り続けているNetflixWOWOW、昨今で市場が急拡大したYouTubeなど、まさに映像乱立の時代において、それらを差し置いてもなお民放にこだわる理由は、企業としても大きな関心事項なわけです。

もちろん、活字メディアとの差別化も重要です。ですが、ここは映像としての強みを訴えればよく、有効な回答をするのはそれほど困るところではないでしょう。映像だからこそ伝えられること、また実際自分がなぜ映像が好きかという感情的なところも含めて説明できれば、十分良い説明ができるはずです。

比較的難しく、また評価も分かれやすいのは、やはり映像メディア内での差別化です。ここは企業側もより敏感になるところである一方で、受験者の回答が甘くなりやすいので、他と差をつけるポイントです!

ただし、キー局や準キー局などであれば、内定をそれらの会社に奪われるという事態は想定しづらいため、「内定をあげても他社に行っちゃうんじゃないの?」と心配している度合いは比較的小さいでしょう。映像で伝えるために様々な手段がある時代において、民放テレビ局が持つ強みや特徴を本当に理解しているか、そこにどのくらいの思いがあるのかを見るために、聞いているのです。

ではこうした問いにどのように答えるべきなのか。

NHKとの差別化

まずはNHK。ここに関しては、人気企業トップ中のトップであるキー局だとしても、人材をとられるリスクは排除しきれず、ある程度企業側の危機感を察しながら答えていく必要があります。

何より異なるのは、スポンサー収入=企業の広告費によって運営される民放と、“皆さまの受診料”によって運営される公共放送という違いです。

しかし、広告収入に頼っている民放は、多分にスポンサー企業の意向の影響を受けますし、番組制作費も限られますから、構造上、民放の強みを伝えるのは難しいのが実態でしょう。もちろん、民放の制作する番組で、NHKよりも優れているものは本当にたくさんあります。それらは、公共放送ほどの厳しい基準がないこと、視聴率が広告収入に直結するからこそ結果が求められること、あるいは限られた人しか入社できないからこそ優秀なスタッフが集まっていることなど、考えられる理由はいくつもあげられます。あくまでも民放のコンテンツの方が優れている、民放の番組の方が好きということを伝えたい場合は、こうした方向性での話も必要だと思います。

しかし、「NHKより御社に入りたいんです!」ということを伝えるためには、もう少し現実的なアピールが必要かもしれません。

そこで使えるのが、「職種別採用」「全国転勤あり」という、NHKの特徴を逆手にとるという手法です。

NHKの場合は、職種別採用がとられているため、例えば番組制作に関わるところだと、記者としての仕事は、「腰を据えた番組制作というよりもタイムリーな取材に縛られてしまうことが多い」という説明ができ、ディレクターの仕事では、「速報性のある取材はなかなかできないのでは」というロジックが成立し、「取材して放送するところまで一貫して責任を負える民放でこそ働きたい」という説明が成り立つわけです。つまり、「幅広い業務を経験したいから民放」いうことが、それなりに有効な理由になるということです。

また、「全国転勤あり」という点に関しては、「首都圏を拠点に働きたい」というのも、非常に現実的な話で、説得力があります。“地方軽視”と思われないよう、丁寧な説明が必要になりますが、例えば

〈もちろん地方の情報を伝える意義は大きいが、重要な政策は霞ヶ関で決まるし、日本を動かす有力企業は首都圏にある。ものごとの中心はやはり首都圏、特に東京にあると思うから、情報の最先端が集まる場所に身を置いておきたい〉

などといった説明ができれば、「東京にこだわりたい=民放じゃないとダメ」という筋が通るわけです。

このような筋の通った説明を、ウソっぽくならないよう、簡潔に伝えることが重要です。

 

新興勢力との差別化

そして、昨今で重要なのは、YouTubeやNetflixなどと比べたときの民放の強みを考えること。

YouTubeについては、たしかに視聴回数の規模はすごいものがありますし、テレビの視聴者がここに流れつつある現状を見ると、たしかに一つの脅威となっているでしょう。個人でも100万ほどの登録者数を持っているとなると、もはや一つのメディア並みの力を持っているYouTuberもいます。

ですが、やはりコンテンツとしてのクオリティは、歴史あるテレビにかなうものではなく、実際にテレビで放送されたものの“切り抜き”動画などは、ごく一部のシーンだとしてもかなりの再生数をほこっています(※著作権の議論はまた別の話とします)。テレビ画面越しに見ていたのが、パソコンやスマホに置き換わっただけで、テレビ局が制作してきたコンテンツが支持されていることには変わりないともいえるでしょう。

ただし、YouTube上で配信される情報系の番組には注意が必要です。このような番組の場合、コンテンツとしてのクオリティよりも、番組内での発言や討論内容などが重要になりますから、例えば『真相深入り!虎ノ門ニュース』などは、まさに”テレビでは言えない”ことを発信する攻めた内容になっていて、かなりの支持を集めています。ディレクター・記者ともに気にかけていくべきところはないでしょうか。

 

とはいえ、やはり脅威となっていて、企業側の関心も高いのは、Netflixなどの課金系の配信企業です。顧客とサブスクリプション契約を結び、従来は買い付けた映像作品を配信する形だったのが、昨今は独自のコンテンツ制作にも注力するようになり、2021年の『クイーンズ・キャンビット』をはじめ、数々の有名な賞を受賞するほどの力を持っています。

優秀なスタッフが集い、ガチガチの実力社会の中で、豊富な資金を惜しげもなく使われて制作される作品は、やはり他のメディアに真似できないものも数多くあるわけです。

こうした企業とどう戦っていくかというのは、テレビ局における重要な課題になっています。ネトフリに比べ、制作における資金も限られ、またスポンサー企業の意向も汲まなければならない点は、構造上かなりの不利があるといえるでしょう。それでもなお、日本のテレビ局、特に民放各社の方が優れているといえる点はどこにあるでしょうか。

その一つは、日本国民の生活に根差した番組をつくりつづけてきた点にこそあるのではないでしょうか。

いわば、日本の文化をつくり、浸透させてきたのは、紛れもなくテレビ局です。どんな人でも、幼少期に見たアニメ、青春時代に見たバラエティ番組やドラマは、今でも記憶に残っているところがあるでしょう。いくらテレビ離れが進んでいるといっても、その制作力、特に日本国民が喜ぶ映像コンテンツを作るという点においては、日本のテレビ局を超えるメディアはないでしょう。爆発力がある分、ネトフリの方が勝ることだってあるかもしれませんが、幅広く、長期的に日本人の心に響いているのは、テレビ局がつくってきた作品の数々なのです。

 

その他、従来でいえば、WOWOWスカパー!などの有料チャンネルもありますよね。特にWOWOWは、ドラマ等でかなりの評価を得ているものもたくさんありますから、ぜひチェックしてみてください。スポンサー収入にとらわれないからこそ、高い自由度をもって制作できる点は一つの強みでしょう。

こちらの記事に続きます。

【民放テレビ局】内定のツボ② 「好きな番組」の答え方 / 表面的な工夫は不要/倍率は気にしない!

 

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