新聞社は”職種のデパート”とも称される新聞社には、記者職以外にもたくさんの業務があります。そこで、いわゆる”文系就活”における採用区分は、ある程度専門的な仕事を担う【記者職】と、販売や広告の仕事を中心として、記者職以外の幅広い営業・企画部門の業務を担う【営業職】の2つに大別されています。
シンプルな方向性で攻めやすい記者職と違い、営業職の場合は他の文系職全般と似た感じの就活になるので、「これさえやっておけば」という明快な解はありませんが、ある意味で特殊な採用であるからこそ、内定に近づくために押さえておきたいポイントはいくつかあります。今回は、そんな新聞社の営業職で内定を獲得するためのツボをお伝えしていきます。
感覚は一般的な就活に近い
そもそも新聞社の営業職採用とは、主に記者職以外のほとんどの職種を担う人材を獲得するための採用区分ですが、主に販売局と広告局への配属を想定したものになっています。販売局は、紙の新聞を販売、配達する新聞販売店の管理や、紙・デジタル問わず購読者を広げるための施策を担う一方で、広告局は、自社が持つ媒体における広告の営業および企画を行い、クライアントのPRや企業ブランディングの対価として収益を獲得する役割を担います。両者で仕事内容はだいぶ変わるので、「新聞社の営業部門で働きたい」という軸に加え、「販売局の仕事がしたい」or「広告局の仕事がしたい」という具体的な軸が必要になってきます。
このあたりは、ジャーナリズムとはまた違う話であり、どちらかというと、他の業界の営業職と同じくくりの就職活動になってくると思われます。よって、アピールの仕方などは業界を問わない一般的な就活論に沿った形で問題がないと思われますが、少し特殊な採用区分になるため、「なぜ他の業界の営業職ではなくて新聞社なのか」という点は、やはり説得力を持った説明が必要になってくるというわけです。
デジタル時代におけるビジネスアイデア
新聞社だからこそ、多くの読者層を抱えているがゆえに、「社会への影響力を持った仕事ができる」「一つのメディアを支える仕事がしたい」という動機は、「なぜ新聞社の営業職が良いのか」を説明するために有効な説明だと思いますが、そこから一歩先、本当に企業側が課題としているであろうことに寄り添うことで、評価はより高められるのではないかと思います。
そこで、現代の新聞社にとって最も大きな課題の一つが、「デジタルシフトの時代にどう対応していくか」という点です。例えば、新聞の「電子版」をどの程度主力製品として扱っていくかという点については各社の姿勢にばらつきがあるものの、デジタル化の波にどのように対応して、企業として成長していくかということ自体は、各社共通して悩んでいるポイントです。
ただ、これらは、ある意味で「情報を得て発信する」という単純作業を繰り返す記者職ではなかなか取り組みづらい課題であるからこそ、各社は、この困難な時代を切り拓いていく素質を持った人材をこの職種で求めているというわけです。
ですから、こうした企業側の悩みに寄り添ったアピールこそが最も響く要素だと言えます。
販売局志望であれば、学生レベルでもいいから、電子版の購読者を増やす案をいくつも畳みかけることで、積極性や革新性を見せたり、広告局志望であれば、「企業から広告費をもらう」という広い視点で、紙の新聞の広告の枠にとらわれない提案をしてみたり。やり方は色々あると思いますが、どうやってデジタル化時代に収益をあげていくかをしっかり考えていることを示すことが最重要ポイントになるといえると思います。
ただし注意点として、どの社も、いまだに紙こそが収益の柱と考えているところがほとんどなので、紙をないがしろにしているような印象を与えることは避けましょう。
”衰退産業”を逆手にとる
新聞業界が「斜陽産業」であることを活かさない手はないでしょう。紙の新聞の購読者減により、どの新聞社も業績は悪化の一途をたどっています。だからこそ、各社は新しい収益源を模索しています。逆にいうと、新しいチャレンジが歓迎される環境にあるともいえるわけです。
「厳しい環境にあるからこそ、どんどん新しいチャレンジをしていけると思った」
「既存の枠組みにとらわれず、新しい収益源をつくりたい」
という動機が響くのです。
販売局志望の方なら、新聞というメディアと一般の人たちをつなぐ手立てを、「紙の新聞読者」という枠にとらわれず考えてみましょう。デジタルで新しい商品をつくることで新たな顧客層を探るのも良いでしょうし、新聞社が持つ独自のネットワークである「新聞販売店」を利用するのも良いでしょう。もちろん、従来の仕事は継続して必要になるため、販売店の売上管理等、泥臭い業務がたくさんあることに変わりはありませんが、これからの販売局は、一般の人たちを相手に、いかに自社との接点をつくっていくかが求められていることもたしかです。
広告局志望の場合は、これが法人相手になります。従来は、「企業から広告をもらってくる」というビジネスモデルでしたが、これからは、「広告」にとらわれず、企業のPRにつながる事業を生み出すことで新たな収益源を獲得することが求められています。最近では、電子版上での広告や、イベント事業(イベントを企画して、そこに協賛してもらうモデル)などが主流になりつつあるようですが、企業のPRという形であれば、極論何でもいいわけです。面接段階では実現性はそこまで求められませんから、思い切ったアイデアを出していきたいところです。
いずれにせよ、こうしたチャレンジができるのは、“衰退産業ならでは”のことだと思います。絶好調のキーエンスで「新しいことがやりたい」と言っても、「まずはキーエンス流の営業を身につけろ」という話になるでしょう。厳しい業界であることを逆手にとって、説得力のある志望動機につなげたいところです。
なお、記者職と同様、やはり競合他社にとられたくないという心理は強く働いているので、ここは他業界以上に注意するようにしてください。特に、「××新聞ではなく〇〇新聞が良い」という説明をするのは、直接報道に関わる記者職よりも難しいといえるでしょう。その新聞の報道自体を好んでいるのか、企業としての取り組みに惹かれているのか、あるいはその新聞社のビジネスで興味深いと感じるものがあるのか、自分なりの説明ができるようにしっかり準備しておきましょう。
受験者数の減少に悩む新聞各社ですが、それでもなお、ある程度の優秀さが認められないと入社は難しい業界であることは間違いありません。一社一社油断せず、丁寧な準備をして採用試験に臨みたいですね。
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