NHK 内定のツボ【ディレクター・記者職編】「公共放送」「職種別採用」をうまく利用せよ!

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「受信料」をめぐって世間の風当たりは厳しくなる一方ですが、就職先としての人気は相変わらず高いまま。仕事内容の魅力、好待遇、そして「テレビ局の割には倍率が低そう」という、どこか手が届きそうな雰囲気から、例年かなりの数の人が受験しています。

こうした中での局内の傾向としては、「記者職の志望者は激減(その分ディレクターに集中)」「アナウンサー人気はいわずもがな」「営業系は比較的入りやすい」といったところでしょうか。

ということで、今回は番組制作系で二大人気職種となる、ディレクター職と記者職で内定を獲得するためのツボについて、お伝えしていきます。

 

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「なぜNHKなのか」民放・新聞社との比較

テレビへのこだわりを見せるのはもちろんなのですが、公共放送という特殊なメディアであるがゆえに、「なぜ公共放送」「なぜNHK」という点は、局側も注意深く尋ねてきます。

民放との比較

特にディレクター職の場合、民放各局との差別化が強く求められます。要は、「本当に民放よりNHKに入りたいの?」という気持ちを確かめたいわけです。実際、どちらの内定も得た人は、民放を選ぶ人が多いのが現実です。単に民放と公共放送の違いをちゃんと理解しているかをチェックするという意図だけでなく、「内定をあげたらちゃんと来てくれるか」という、リアルな確認も含めての質問なわけです。

とはいえ、民放との違いは説明しやすく、また筋が通りやすいのでここはそれほどの難易度ではありません。もちろん、各々が感じるNHKの良さを答えれば良いのですが、構造上NHKの方が優れているといえるのは、主に以下の2点でしょうか。

「世のため人のため」を体現できる

民放テレビ局は、スポンサーへの依存度がいまだ9割以上。新聞社も、ざっくり半分程度は広告収入によるものです。いわば、スポンサー企業の利益にならないと収益があげづらい利益構造になっていて、構造的に、スポンサー企業の不利益につながる行動がとりづらい状態になっています。

一方でNHKだけは、一般国民の受診料に支えられている公共放送というメディアであり、CMなどの広告がないため、理論上、企業などではなく、一般の人のために良い番組をつくることこそが、スポンサーへの還元行為となるわけです。実態はともかくとして、まさに「世のため人のため」を純粋に体現できる唯一のメディアといえるでしょう。

とすれば、「純粋に人のためになる番組づくりができる唯一の放送局」という説明は、シンプルではありつつも、かなりの説得力を持った志望動機の一つになるのです。

そうはいっても、実態としては政治的な忖度が疑われる事態はよく話題になっていますし、また視聴率によって収益に影響が出ないが故に、大して意味のない番組を垂れ流していることも多々見受けられますね。ただ、こうした現実は理解しつつも、面接では、先のようなきれいごとを堂々と話して良いでしょう。なお、視聴率は決して軽視しているわけではないので、ここは注意が必要です。収益に影響はないとしても、一つの重要な指標になっているのは事実です。

採用が分かれている強み

NHKは「職種別採用」を行っているのも、強みの一つといえるでしょう。ディレクターとして採用されれば、記者や営業に回されることなく、ずっと番組制作の仕事ができるわけで、当然逆もまた然り。本音としては、多少のジョブローテーションがあった方が良いと考える人もいるかもしれませんが、面接では、これを「NHKの魅力」として語りましょう。民放に比べたNHKの優位性を伝えることができるだけでなく、目指す仕事へのこだわりも見せることができます。

 

新聞社との比較

これに加え、記者職の場合は、新聞社との比較も強く求められています。

実際の仕事上も、NHK、大手新聞社、大手通信社は同じところ(例えば東京都庁担当、福岡県警担当など)に同じくらいの人数をつけているので、NHKの記者になると、むしろ民放よりも新聞社・通信社の方が直接的なライバルになり、また記者としての働き方も、新聞社・通信社のイメージに近いと思って良いでしょう。ですから、面接官を務める記者たちは、必ず「なぜ新聞社じゃなくてNHKの記者に?」ということを聞いてきます。

ただ、ここには「映像」と「活字」という明白な違いがあるので、これもまた筋の通った説明をする難易度はそれほど高くないように思います。

災害の生々しい映像だからこそ伝わることは当然あるでしょうし、遠い国で起こっている紛争やテロなども、文字では感情移入できないことがあっても、恐怖におびえ、涙を流す現地の人の映像があれば、心に直接的に伝えられることもあるでしょう。人のインタビューでも、直接本人が話す言葉と、文字化したものでは、伝わる印象も違います。そもそもスポーツなどは映像でないと、それ自体を伝えることはできません。挙げればキリがないところですが、このような各々が感じる「映像の魅力」を訴えれば、自然に新聞との比較はできるわけです。

 

そう考えていくと、NHKという特殊な構造上、民放や新聞社との差別化は、しっかりポイントをおさえてさえおけば、何を聞かれても説得力のある回答ができると思います。

新興勢力との差別化

昨今で重要性を増しているのは、YouTubeやNetflixなどの”新興勢力”との比較です。

YouTubeについては、視聴回数の規模はすごいものがありますし、テレビの視聴者がここに流れつつある現状を見ると、たしかに一つの脅威になっているともいえるでしょう。個人でも数百万ほどの登録者数がいるとなると、もはや一つのメディア並みの力を持っているYouTuberもいるということいになります。

ですが、やはりコンテンツとしてのクオリティは、歴史あるテレビにかなうものではないと見ても間違いではないでしょう。実際にテレビで放送されたものの“切り抜き”動画などは、ごく一部のシーンだとしてもかなりの再生数をほこっています(※著作権の議論はまた別の話とします)。テレビ画面越しに見ていたのが、パソコンやスマホに置き換わっただけで、テレビ局が制作してきたコンテンツが支持されていることには変わりないともいえるのではないでしょうか。

ただし、YouTube上で配信される情報系の番組には注意が必要です。このような番組の場合、コンテンツとしてのクオリティよりも、番組内での発言や討論内容などが重要になりますから、例えば『真相深入り!虎ノ門ニュース』などは、まさに”テレビでは言えない”ことを発信する攻めた内容になっていて、かなりの支持を集めています。ディレクター・記者ともに気にかけていくべきところはないでしょうか。

 

とはいえ、やはり本当の意味で脅威となっていて、企業側の関心も高いのは、Netflixなどの課金系の配信企業です。顧客とサブスクリプション契約を結び、従来は買い付けた映像作品を配信する形だったのが、昨今は独自のコンテンツ制作にも注力するようになり、2021年の『クイーンズ・キャンビット』をはじめ、数々の有名な賞を受賞するほどの力を持っています。

優秀なスタッフが集い、ガチガチの実力社会の中で、豊富な資金を惜しげもなく使われて制作される作品は、やはり他のメディアに真似できないものも数多くあるわけです。

こうした企業とどう戦っていくかというのは、テレビ業界における重要な課題となっていて、公共放送のNHKだって、自分たちの存在意義が脅かされかねないわけですから、決して例外ではありません。

それでも、良くも悪くも、資金力という意味ではNHKも決して負けていないですし、何より日本人の生活や心に根差した番組制作ができるのは、やはりテレビ局が頭一つ抜けているでしょう。

いわば、日本の文化をつくり、浸透させてきたのは、紛れもなくテレビ局です。どんな人でも、幼少期に見た教育番組やアニメ、青春時代に見たバラエティ番組やドラマ、衝撃的なドキュメンタリー番組などは、今でも記憶に残っているところがあることと思います。いくらテレビ離れが進んでいるといっても、その制作力、特に日本国民が喜ぶ映像コンテンツを作るという点においては、日本のテレビ局を超えるメディアはないでしょう。爆発力がある分、ネトフリの方が勝ることだってあるかもしれませんが、幅広く、長期的に日本人の心に響いているのは、テレビ局がつくってきた作品の数々なのです。

その中でも、NHKほど日本人の心と共にあり続け、また文化をつくってきた局はないともいえるのではないでしょうか。局としてもそこを誇りに思っているはずです。こうした面接官の誇りをくすぐる話ができれば、より”NHK愛”が伝わるのではないかと思います。

 

「好きな番組」をどう答えるか

他局ではなくNHKの番組を

テレビ局で必ずといっていいほど聞かれる「好きな番組は?」という質問。

ディレクター志望なら、純粋に好きな番組を答えればいいと思いますが、民放の番組を答えることだけは絶対に避けるべきだと思います。

もちろん、それによって、かえってNHKの志望度を高めるロジックの説明ができるのなら全く問題はないのですが、ふつうの人ならなかなか難しいでしょう。それに、NHKは民放各局よりもかなりの番組数を持っていて、特番の数も膨大です。それだけ多様な番組があるのに、NHKの番組から「好きな番組」を選べないのなら、「本当は民放に行きたいんだろうな」と思われても仕方ありません。ここはトリッキーな攻め方をするところではないので、NHKの番組から選ぶというのは大前提にしていただきたいところです。各ジャンルで上質でかつ特徴的な番組がそろっていますから、本音ではないにしても、面接上での説明はしやすいはずです。

記者志望なら記者が関わる番組を

この前提の基で、記者志望なら、記者が関わる番組を選びましょう。『LIFE!』や『ドキュメント72時間』ではなく、ニュース系の番組や災害報道系の番組、あるいは『クローズアップ現代+』などを選ぼうということです。

もちろん、実際に働いている記者たちも、自分たちが関わる番組が一番好きとは限りません。むしろ、報道以外の番組を好む人の方が多いでしょう。しかし、就活においてバラエティやドラマが好きだと主張していたら、「本当はディレクターが良いんじゃないの?」という誤解が生まれかねないわけです。また、そこまでは至らないとしても、記者の仕事とは関係ない番組を挙げることで、何のアピールにもつながらないやりとりで1ターン使ってしまうのがもったいないのです。

例えば、お堅い『ニュース7』だって、言い方によっては「一番好きな番組」ということもできると思います。私自身、録画をしてでもこの番組だけは必ず毎日見ていますし、各新聞社も、翌日の朝刊制作に向けて少なからず『ニュース7』で何が取り上げられたかを参考にしていますから、いわばこうしたインフラ的な価値を感じるという説明もできると思います。また、やはりNHKの記者として働くなら、ここで取り上げられるネタをとってくるということへの憧れも出てくるでしょうから、そういう意味での「好き」というのも、言い方によっては十分通る説明になると思います。

「好き」という発言への責任〈信じてもらうテクニック〉

ただし、本音とは違う番組を「好きな番組」として説明をする場合、その発言に責任を持つ必要があることを忘れないでいてください。「好きと言っている割にはあんまり見てないな」などと思われてしまたら、すべてが台無しです。好きというからには、少なくとも毎回見ている“と思わせる”ことが必要です。もともと好きだった番組でもない限り、本当に「毎回見ている」というのは現実としてなかなか難しいところはあると思いますが、相手方としては「本当に好きなんだな」と信じてくれるくらいの説明をしなければならないということです。

まず、面接で話す「好きな番組」を決めたところからは、必ず毎回の放送をチェックするようにしましょう。気づいた点、気になった点、印象に残った点など、面接に使えそうなところはメモするようにしてください。

その上で、過去の放送も、できる限りチェックするようにしてください。例えば、報道系の番組の場合は「子どものときから見てます」というのはあまり現実的ではないでしょうが、子どもや学生にも人気の番組の場合は、ある程度遡っておくことも必要です。

全放送分をチェックするなんてことはできるわけがありませんから、現実的な範囲でかまいませんので、ネットなどで放送内容が確認できるものを集めておきましょう。意外に過去の放送分の動画がネットにも転がっていたりします。著作権的な問題はありますが、自分の人生に関わる情報収集ですからここでは目をつぶっていただき、しっかり確認しておきたいところです。

そして、面接時には、直近数回分の感想は答えられるようにしておきつつ、過去の印象的な回もいくつか話せるようにしておけば十分なのではないかと思います。ここまででもある程度手間はかかるかと思いますが、「一番好き」というからには、その発言に対する責任はしっかり負うべきでしょう。

 

なお、民放の競合番組との比較もしっかりできるようにしておきたいところです。各番組、競合となる番組が必ずあるはずで、制作者側は必ず意識しています。こうした類似番組、競合番組との比較を求められることは当然想定されますから、しっかり準備しておきましょう。

 

また、「好きな〇〇は?」という類の質問は、「他には?」と追加で聞かれることも定番です。1番目には、上記のような考え方に基づいて”決め球”を用意しておきたいところですが、2番目、3番目は、逆にキメキメすぎても不自然になってしまいますから、必ずしも志望部署の番組を選んで過去の放送までカンペキにチェックしておく必要はないかもしれません。

 

NHKは「とにかく若い人に見てほしい」

昨今のNHKの傾向として、「若い人に見てほしい!」という傾向があるのは明らかです。

例えば、21年の紅白歌合戦では、”演歌枠”を減らしてでも、若い世代に人気のアーティストの割合を増やしていて、ついには「歌い手」と呼ばれる『まふまふ』さんの出場にも至っています。

「就活」や「20代の生き方」などに関する番組が増えたのも、その傾向を表しています。『怖くない。就活』をはじめとして、就活に関する情報を発信する番組が、ここ数年よく放送されていますね。NHKで働く20代のディレクターが登場して、「キャリア」や「結婚」などについて考える番組なども増えています。

従来の番組にも、いかにも若年層が好きそうなタレントの起用が目立ちます。そういわれると、「あの人はそういう起用かな」と感じるタレントもいるのではないでしょうか。

やはり、テレビ視聴者層の高齢化が進み、NHKとしても危機感を抱いているのでしょう。この傾向自体に対する意見は三者三様だと思いますが、局として「若い人に見てもらうためにはどうしたらいいか」ということを強く意識しているのはたしかですから、面接でも考えを求められる可能性は非常に高いです。こうした局としての大きな方針に沿う回答ができれば、高評価に繋がる可能性は高まるのではないかと思います。

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おわりに

NHKの選考を進む上での大事なことはこれ以外にも無数にありますが、ここでは、ツボとなる考え方についてご提示したつもりです。民放や新聞社についても同様の記事をまとめておりますので、よかったら参考にしてみてください。

※NHKの営業・事業職編はこちらから

【NHK】内定のツボ ~営業・事業職編~ 重要なのは企画力!

※他のメディアについてはこちらから

【民放テレビ局】内定のツボ① 「差別化」を突き詰める

【民放テレビ局】内定のツボ② 「好きな番組」の答え方 / 表面的な工夫は不要/倍率は気にしない!

【新聞社】内定のツボ ~記者職編~ 「デジタル化」「活字メディアの優位性」ほか

【新聞社への就職】内定のツボ ~営業職(販売・広告)編~ 衰退産業であることを逆手にとれ!

【出版社】内定のツボ① 「競合他社との差別化」「他の受験者との差別化」

【出版社】内定のツボ② 「好きな本は?」「作文試験」うまく切り抜ける方法

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