皆さん、面接に向けた準備は進んでいますでしょうか。こと就職面接においては、「ちゃんと準備すべき派」「自然体で臨むべき派」と色々いますが、私は「ガチガチに準備すべき派」です。
想定しうるあらゆる質問に対して100点、いや120点の回答を用意しておけば、どんな聞かれ方をしても、良いアピールができると考えています。当然、いくら準備をしていたって予想外の質問が来ることはあるでしょうが、できるだけ多くの質問に対しての回答を持ち合わせておくことで、対応できる質問も幅がどんどん広がっていきます。回答の質を深める意味でも、対応できる幅を広げる意味でも、準備というものが本当に大事だと私は思うのです。
”準備してきた感”はNG
ではなぜ「自然体で臨むべき派」が一定数いるかというと、準備を重ねていけばいくほど、「いかにも準備してきました感」が出たり、あるいは面接官の質問に対して、自分が準備してきた回答に寄せた答え方になってしまい、少しズレた回答をしてしまったりということが多々あるからです。
「いかにも準備してきた感」のある回答は、面接官にとってちっとも面白みがなく、また受験者の人柄も見えてこないため、かなり嫌われます。
また、準備してきた回答に寄せて話すことで面接官の質問にストレートに答えられていない場合も、受験者のそういった意図は見透かされていますし、またこれも「いかにも準備してきた感」に繋がり、嫌われます。面接官としては、あくまでも会話のつもりで質問を投げかけているのに、準備してきた音声が流れるようなやりとりになってしまっては、そもそも会話している感がなく、当然受験者に魅力を感じることはないでしょう。
ある意味で、準備すればするほどこういう状態に陥りやすい人もいるかもしれませんから、いわば“準備のジレンマ”のような感じですね。
しかし、だからといって、よほど能力のある人でない限り、準備無しで良い受け答えができることはそうないでしょう。「あえて準備をしないことで面接がうまくいった」という先輩のアドバイスは、信じない方が良いと思います。それはあくまでも相手の質問に対してまっすぐ答え、自然な受け答えをするという意味においては有効なのかもしれませんが、内定をもらうためにクオリティの高い回答をするということに繋がるわけではありません。私のように、天才とは程遠いふつうの人間であれば、想定しうるあらゆる質問に対して120点の回答を用意しておいて、面接で何を聞かれても良いアピールができるように準備しておくべきだと思います。
”準備してきた感”を消す方法
では、この“準備のジレンマ”を解消するためにどうすべきか。
それは、準備の跡が見えないようにするための準備をするということです。
そこで必要なのは、面接練習や、話す練習を何度も繰り返すことです。
準備してきた120点の回答を、自分の言葉としてなじませるために、何度も何度も口にするのです。
何度も口に出していると、最初は覚えたことを読み上げるような雰囲気だったところから、次第に話の骨子が体に馴染んできて、「覚えてきました感」が薄れ、自然に話す余裕が生まれてきます。
その余裕によって、毎回微妙に違う相手の聞き方や、その状況に応じて、多少のアレンジを自然に効かせることができるようになってきます。このアレンジによって、相手の質問に対して自然な回答になるようにしていくわけです。
例えば、
「自己PRは?」「あなたの強みは?」「一番の強みを一言で話して」「あなたを採用するとうちにどんなメリットがある?」「あなたの強みがわかる一番のエピソードは?」
どれも同じことを聞かれているようですが、少しずつ答え方は変わってきますよね。こういう質問の細かいニュアンスを汲み取って、自然にやりとりすることが大事です。自分が覚えてきた原稿を読み上げるだけでは、自然なやりとりは成立しないのです。
“話す練習”の大切さについてはこちらの記事にも一部書いていますので参考にしてみてください。
【面接対策】“準備”したことを伝えるための“準備” 疎かにしがちな”話す練習”
「考えるふり」を有効に活用しよう
さて、あらゆる準備をしていると、面接官としては「これは困るだろうな」という“意地悪な質問”をしてきても、だいたい対応できるようになってきます。
しかし、ここでスラスラを答えるのはナンセンス。
「なんだ、これも準備してきたのか」と思われてしまっては、それはそれで評価してくれる人もいるかもしれませんが、たいていの人は興ざめしてしまいます。
ここはあえて、一度考えるふりをすることで、「いかにも“準備していない”感」を演出するのです。考えたふりでワンターン置いたところで、振り絞るような話し方ができれば、その場で考えたような印象を与えられるでしょう。その場で考えたにも関わらず、“120点”のハイクオリティな回答ができれば、高評価に繋がる可能性は一気に高まります。
あまりにもひねった質問で、一般的に難易度の高そうな質問が来た場合は、困った顔で「少しお時間いただいてもよろしいですか?」などと言って、5秒くらい寝かせてもOKです。自然な演技は必要ですが、ウソをつけと言っているわけではなく、ただ回答を遅らせるだけですから、演技としての難易度も低いのではないかと思うのです。
ときには”邪道”も必要
こうした手法をお読みになって、「邪道だ」と感じられる方もたくさんいらっしゃるのしょう。ただ私は、この“邪道さ”は、就活の先にある長い社会人生においても、大いに必要になる“人間力”でもあると思っています。
例えばテレビ局の仕事においても、番組制作なら、台本無しでただ撮影したものを放送することなんてなく、視聴者により効果的に伝えるために、どのように演者が話せばいいか、どのような映像や音楽を差し込むべきかという綿密な演出があった上で、番組として放送されています。営業なら、顧客に番組の価値などをより良く伝えるために、説明用の資料や話し方にはできる限りの工夫が求められるでしょう。
ある意味、”実態よりよく見せるための演出”は、社会の至るところで行われているわけです。
就職面接は、そのような仕事をするためのファーストステップです。自分という商品をより良く見せるために、できることは何でもやるべきだというのが、私の考えです。
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