【三題噺】ロジカルな思考で“それっぽく”仕上げる!苦手な人でも突破できる書き方・考え方

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特に大手出版社で定番の課題になっている三題噺。単なるクリエイティブ試験だと思い、苦手意識、あるいは「できるわけない…」という感覚をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

通常の作文試験とは違い、予定原稿を用意しづらいのも難しく感じられる理由の一つでしょう。とはいえ、私のようにクリエイティビティに苦手意識のある人間でも、ロジカルに考えることでそれっぽく仕上げる方法はあります。それに、多くの方が苦手意識を持ち、大した答案ができないのが現実ですから、それほどのクオリティでなくとも合格水準には届きます。

いわば、“それっぽい文章”にさえなっていれば十分なのです。こうした実態を踏まえ、苦手意識のある人でも突破できる現実的な方法をご提示していきます。

 

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オチから考える

三題噺で陥りがちなのが、ストーリーを思いついても、後になってオチが浮かばず、なんだかふつうの作文のようになってしまったというパターン。時間が本当に限られているわけですから、無理もありません。

前提として、就活の課題として与えられる三題噺は、“ぱっと見おもしろい”くらいの印象を与えられれば、まず合格点に達すると思って良いでしょう。そもそも、1~2時間程度で、急に与えられた3語でまともな文章を提出できる人自体、ほとんどいません。周りがみんなできない分、ハードルは低いのです。ですから、ストーリーの設定に多少無理があったり、少しくらい設定の矛盾があったりしても、多めに見てくれます。細かい点は置いておいて、パッと見た印象でおもしろいと感じる文章であれば十分なのです。ネットや就活本に出てくる「100点」の回答を見て、恐れすぎることはありません。

 

では、“パッと見でおもしろい”文章とはどんなものか。簡単に言うと、“それっぽいオチがついている”文章です。正直、文章自体は面白みに欠けても、それなりのオチがついていたら、なんとなくおもしろそうな感じがするものです。短時間で、文章にさえなっていない回答が続出する中、オチがついているというだけでかなり際立っているはずです。雑で少々無理があってもいいので、“それっぽいオチ”を最優先で考えましょう。それができてしまえば、おのずとストーリーもできてくるはずです。

 

となると、“それっぽいオチ”とはどのように考えればいいのか。最も簡単なのは、“どんでん返し”を入れるということです。もちろん、そんなに大それたものである必要はありません。上記の通り、細かい設定や伏線がなくても許される、「試験」としての三題噺でなら、おおざっぱにそれまでの流れをひっくり返す締め方になっていれば、それなりの印象は与えられます。

 

では、実際にそのようなオチを考えるために、どのような手順で思考を働かせていけばいいのか。以下でご説明していきます。

 

 

「汎用性に乏しい単語」を軸にストーリーを考える

端的に結論を述べると、「3つの単語の中で、最も汎用性に乏しい言葉をもとに、おおまかなストーリーとオチを考える」ということになります。

 

まず前提として知っておいていただきたいのは、「3つの言葉を骨子にしてストーリーをつくらないといけない」のではなく、「どこかで触れてさえいればOK」ということです。

陥りがちなのが、3つの言葉の使い方にとらわれすぎて、結局書ききれず終わってしまうこと。

実際は、その言葉さえ自然に使っていれば、別に話の骨子になる使い方でなくともいいわけです。

だいだい、3つのキーワードの中で、1つか2つは、かなり汎用性の高い抽象的な言葉が含まれているものです。それらは、後から無理やりにでも文中に含められます。

逆にそれができない、汎用性に乏しい言葉、例えば、「トカゲ」「換気扇」「スキー」などの場合は、後付けで自然に入れ込むのが難しい。だからこそ、こうした汎用性に乏しい言葉からストーリーとオチを先に考え、その後に、残りの単語を“消費する”というイメージで考えていくのです。

 

抽象的なお話ばかりしていてもイメージがわかないと思うので、例えば、近年の講談社の出題例から考えてみましょう。

2020年に出題されたお題の一つ「サステイナブル・新型・聖火」を例にとってみます。このときは、この3語を使った上で、「あなたの理想の物語を教えてください」という指定までついていたので、その分用語自体は、比較的汎用性が高くなっているというか、“汎用性の平均レベルが高い”印象です。

さて、この中では、「新型」はどんな形でも組み込めそうな汎用性があり、「サステイナブル」も、“SDGs”などの文脈でそこそこ使いやすそうな一方で、「聖火」の扱い方がなかなか難しそうです。この言葉から浮かぶものといったら、オリンピック・パラリンピックの聖火くらいしかないのではないでしょうか。というわけで、まずは「聖火」を話の軸として考えてみます。

多くの方にとって、オリンピックやパラリンピックの聖火といってまず思い浮かぶのは、「聖火リレー」になるでしょうか。そこで仮に「聖火リレー」をラストシーンにもっていくとすると、ここでできる“どんでん返し”といったら、どんなことが思いつくでしょうか。

「リレーの最終走者が失踪」
「聖火の中身が火ではなかった」
「聖火台までの階段があまりにも長い」
「聖火は命がある設定で、最後に聖火台にうつされると消えて“亡”くなってしまう」

などなど・・・。

こうして、最後に聖火リレーでどんでん返しを起こすオチをいくつか先に考えたところで、そこに向かうストーリーをつくっていきます。

ここで、このオチをもとに先におおまかなストーリーまでつくってしまい、その後に残りの2語を消費するという形でももちろん問題がないのですが、できるだけ残りの2語を消費しやすくするために、残り2語のどちらで、ストーリーを肉付けできるものがないか考えてみます。

残りの2語は、「新型」「サステイナブル」・・・。

 

この2語を意識しながら、先ほど挙げた「聖火は命がある設定で、最後に聖火台にうつされると消えて“亡”くなってしまう」というオチに向かって、ストーリーを考えてみましょう。

新型“火”類は人間と同じように命がありコミュニケーションがとれる設定。五輪に向けて聖火ランナーとは二人三脚でこれまで歩んできたが、人の手を離れて聖火台にうつされてしまうと、名誉を得ると同時に命が絶たれてしまう」

 手堅い感じですが、一本筋の通ったストーリーはつくれそうです。もっとも、お題には「理想の物語」という指示もあるので、ある程度ポジティブな話にする必要はありそうです。

 

このくらいのレベルで書いても全然合格点には届くとは思うのですが、もう少し独自性を出してみるべく、別の角度からより掘り下げて考えてみます。

先ほどの「聖火の中身が火ではなかった」というオチに向かって、ストーリーをつくってみましょう。まずは聖火の「火」の代わりになりそうなものを色々と挙げてみます。

水、食べ物、酒、人間、動物、魔物(アラジンのジーニーのような)・・・あるいは、空っぽという手もありますね。

色々と手はあるかと思いますが、例えば、九州名物のもつ鍋が大好物な私は、「鍋料理だったら、聖火の上で煮込んで、会場で振る舞うという話もできるなぁ」などと考えてみます。そして、もつ(=ホルモン)には、「ホルモン=放るもん(捨てるもの)」という語源があることを思い出し、それは「サステイナブル」と結びつけられるなどと思考を膨らませます。

「サステイナブルをテーマにした五輪が開催され、SDGs的な料理としてのもつ鍋を世界にアピールしようとして、究極のもつ鍋とは何かと追及していたら、いつしかそれは水炊き(これも九州名物)という、肉の良い部分しか使っていない、フードロス料理になっていた」という感じであれば、最後に聖火の蓋を開けたときの“どんでん返し”が成立しそうです。

「モツナベをはじめとしたフードロス削減料理など、サステイナブルな取り組みで有名な国・キュウシュウで開催される五輪。キュウシュウが五輪に向けて新しく開発した、聖火で煮えたぎる究極のモツナベが聖火台にわたったと思ったら、それはシンプルさを追求するあまりフードロスだらけのミズタキという料理になっていて、世界は落胆した」

厳密にいえば、水炊きがフードロス料理なんてことは全くないですし、細かいことを言い出すとキリがありません。でも、時間も、字数も、全てが限定されている中であれば、このくらいアバウトでも、面白そうな雰囲気があればそれで十分なのです。

 

このように、一番使いづらそうな1語をもとに、また残りの2語も意識しながら、何となくそれっぽくなりそうなオチとストーリーを考えていくというところから始めていきましょう。

ここまでできれば、あとは残りの1、2語を消費するための“辻褄合わせ”の文章で事足ります。ちょっとした設定の矛盾や不備は気にする必要はありません。雰囲気が整っていればそれでいいのです。

 

 

3語を“消費する”ために

3語全てを“消費する”ための方法について考えていきます。

既述の通り、まずは使いづらそうな言葉を軸にストーリーとオチを組み立てていけば、残りの1、2語はある程度汎用性のある言葉が残っているはずなので、どんなストーリーだとしても、消費する道はあるはずです。例えば、上記の講談社の出題例の「新型」の場合は、かなり消費しやすい言葉といえるでしょう。「新しい~」という文脈で使えれば、それほど難しくはないはずです。

 

とはいえここまで汎用性が高いワードが含まれていることばかりではないので、そういったときの対策をご提示すると、その単語から連想される用語をひたすら挙げてみることです。

 

例えば、2014年の小学館の出題例「ホワイト・鉄棒・温故知新」で考えると、おそらく話の軸は、汎用性が低そうな「鉄棒」「温故知新」で考えることになると思うので、最後に残る(残すべき)なのは「ホワイト」になりますでしょうか。

「ホワイト」といえば、例えば「白色」「まっさら」「白色人種」「潔白」などの意味で使えそうですし、そこから派生して、「ホワイト企業」「ホワイトデー」「(歯の)ホワイトニング」「ホワイトボード」などと広げれば、様々な意味合いの用語から消費方法を考えていけそうです。ここまで広げると、何かしら文中に入れ込む算段は付いてくるのではないでしょうか。

最初から1つか2つくらいの意味にとらわれて考えていくと、なかなか難しいものですが、まずは“選択肢”を広げておくことで、グッと消費しやすくなってくるのです。

ちなみに、「鉄棒」だったら、小学校にあった鉄棒、幼少期に家で遊んでいた屋内用の鉄棒など、用語それ自体が含む意味は限られますが、例えば「鉄棒の“豚の丸焼き”」と表現すれば、幼少期を表す言葉(小学生がよくやる遊びとして)や、殺人事件の流れ(吊るされた状態の例え)として使えますし、あるいは、鉄棒自体を比喩に活用し、「いつしか公園の一番高い鉄棒を超える背丈になった」などと月日の経過も表すことができそうです。

「温故知新」となると、もはや単語ではなく四字熟語ですから、まさに「故きを温ねて新しきを知る」という意味でしか使えなそうです。実際この意味で使うのが理想ですが、もう時間がなくなってしまったさいあくの場合、「温故知新というのが口癖の先生が」などと、無理やり使って、文章の体を成しておくのも一つの手でしょう。とはいえ、こうならないためにも、このような後から消費するのが難しそうな言葉をもとにストーリーを組み立てることをオススメします。

 

文章としての完成度は二の次!

繰り返しになりますが、就職試験としての三題噺は、時間も文字数も限られている中で、細かいところまでのクオリティは求められていません。一般的な「作文試験」だと、しっかりとした論理構成が必要ですが、ある意味で“創作物”を限られた時間で仕上げなければならない三題噺の場合、厳密な論理構成や、細かい設定の矛盾などはそれほど気にする必要はなく、極端な話、「雰囲気だけ良ければOK」なのです。

企業側が、一般的な「作文試験」ではなく、受験者が抵抗を示しそうな「三題噺」をわざわざ出題してくるということは、そこで見たいのは、“論理的破綻はないけどつまらない文章”よりも、“ところどころ変なところはあるけどなんか面白い文章”だと考えるべきしょう。

人が面白いと感じる文章なんて、いくら時間があったって簡単なことではありません。それと、これだけ限られた時間で、まして指定されたわけのわからない3語で仕上げなければならないのですから、細かいところまで気にしていたら時間が足りるわけがありません。

ですから、「何となく面白い」と感じさせることに全集中すべきであり、そのポイントとなるのが、既述の通り、「何となくオチている感じがする」というところなのです。

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一見、難しい試験で、クリエイティビティのある人しか受からない試験のように思えてしまいますが、考えるポイントを絞って、ロジカルに突き詰めていけば、決してそんなことはないはずです。一度肩の力を抜いて、様々な問題で練習してみてください。

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