自己PRのエピソードは「二つ以上」より「一つ」に絞る方が刺さるという話

聞かれた方は異なれど、エントリーシートや面接で必ずと言っていいほど問われる「自己PR」。

その際に、学生時代に経験したエピソードによって自分の強みを裏付けていくわけですが、そのエピソードは複数あった方がいいのか、一つだけでいいのか、そういった疑問点についてお答えしていきます。

自己PRは「広く浅く」よりも「狭く深く」

まず申し上げたいのは、自己PRに使用するエピソードは一つに絞るべきということです。どちらかというと複数話す(書く)べきだという意見も多いとは思うのですが、マスコミ就活を勝ち残る上でも、他の業界の選考においても、私はむしろエピソードは渾身の一本に絞り、その分深掘りをすることで、説得力を増すことができると考えています。

理由は、エントリーシートでいえば「スペースが限られているから」、面接でいえば「時間が限られているから」です。

論文のように十分な文字数が与えられていたり、あるいはカフェで一対一でゆっくり会話しているような状況では、自分の言いたいことを裏付けるエピソードはたくさんあった方が良いでしょう。しかし、就活においては、限られた中でいかに効果的に伝えるかが全てです。エピソードを分散させていると、その分一つひとつの話は表面上の浅い部分しか伝えられない可能性が高まります。

例えば、「自分はリーダーシップがある」と伝えるために、

「1000人規模の集団のリーダーでした」

「サッカーの大学日本代表でキャプテンを務めました」

などと圧倒的な実績がある場合は、その事実だけで強い自己PRになると思いますが、そうでない人は、うわべだけの話で他の受験生よりも評価されることは難しいでしょう。

同じ400字、また同じ1分間では、複数の表面上の話をされてもそれぞれが浅いため、結局あまり印象に残らないケースが多いのです。まして、受験者数の多いマスコミなどの業界では、一人の面接官が受け持つ受験生も膨大です。2、3行程度”で語れるエピソードは、よほどの引きがない限り退屈なものになってしまいますし、おそらく他でも同じような話を聞いているはずなので、差別化という点でも望ましくないのではと思います。

エピソードが二つあると…

例えば、根性があります」とアピールしたい場合。

「大学で音楽のサークルに入り、はじめてバイオリンに挑戦しました。最初は全く音が出ないところから始まりましたが、毎日がむしゃらにに練習を続けることで、3年生になるとパートリーダーを任されるまでになりました。また、個別指導塾のアルバイトでは、最初は全くやる気がなく、宿題もほとんどやってくれない生徒も多かったのですが、めげずに向き合い続けることで家庭で勉強する習慣がついてきて、最後は皆志望校に合格することができました」

ここに含まれる二つのエピソードは、ぞれぞれ悪くない内容だと思います。ですが、きっとその成果に至るまでに色々な工夫や辞めたくなった瞬間、数々の課題、葛藤、人間関係でのトラブルなど、本当に色々なことがあったことでしょう。そういった困難にその人がどう乗り越えるかということこそ、就活において本当に企業側が知りたいことなのです。

エピソードを一つに絞ると

では、これを一つのエピソードに絞ってみます。

御社(貴社)の「関ジャム 完全燃SHOW」を見たことがきっかけで大学で音楽のサークルに入り、はじめてバイオリンに挑戦しました。弦と弓の繊細な摩擦によって音を出す楽器であるため非常に難度が高く、初心者として一緒にはじめた他の4人は途中で挫折して退部してしまいました。それでもあの番組での感動が忘れられず、授業がある日は必ず2時間、休日は5時間、欠かさず練習を続け、3年生になるとパートリーダーを任されるまでになりました」

比較のため少し強調しているところはありますが、ほとんど同じくらいの分量でも、一つのエピソードに絞ることで、だいぶ具体的な記述になり、説得力が出てきました。それにより、「うちの番組をきっかけに行動してくれたんだ」「難しい楽器だけど頑張ったんだなぁ」「本当に努力できる人なんだ」と、その人のことをイメージできる要素が増え、印象に残る度合いも大きく変わったことと思います。

限られた中では「広く浅く」よりも「狭く深く」。常に相手側の目線に立って、どう伝えるかを考えていきましょう。

語れるエピソード自体は複数用意する

とはいえ、自己PRとして語れるエピソードは多く持っているに越したことはありません。特に面接では、一つアピールポイントに対して複数のエピソードを求められることもありますし、また「自己PR」とは別の質問に対して何か答えるときでも、使えるエピソードが豊富にあると、より強力に自分の魅力を伝えることができます。

ここでお伝えしたいのは、「自己PR」を求められたときは渾身のエピソード一つに絞るということで、必ずしも「一つだけ用意すれば良い」というわけではないということです。さまざまな質問にテンポよく答えていくためにも、またあなたの人物像をより深く理解してもらうためにも、使えるエピソードは複数持っておいた方がよいという話です。語れる幅はできるだけ広げておきつつも、「聞かれたらこれ!」という渾身のエピソードを用意し、端的に書く・話す練習をぜひしてみてください。

自己PRをつくる上ではこちらの記事も参考にしてみてください。
【自己PR】硬・軟のバランスで長所を効果的に伝える!

自己PRを二つ用意しておく意味

また別の疑問として挙がるのは、「自己PR自体を二つ用意しておいた方がいいのか」というもの。

まず、基本的に「自己PRをしてください」と聞かれたら、“狭く深く”の原則から、一つの強みを、一つのエピソードで話すのが絶対です。“広く浅く”になればなるほど、相手には何も伝わりません。

その上で、上記にも述べた通り、その強みを裏付けるためのエピソード自体は、複数用意しておくべきです。

「根性がある」と言いたいのなら、サークルの話だけではなく、アルバイトや学業のエピソードからも「根性がある」と伝えらえる状態にしておくのが理想です。

 

その一方で、面接の中では、「他に強みは?」と聞かれることも、あるはある。

ですから念のため、用意しておいたエピソードから話せる別の強みを考えておくのは、周到な用意をしていくという意味ではあった方がよいかもしれません。

ですから結論としては、

・「自己PRは?」と聞かれたときには、強みもエピソードも一つの絞った渾身の一撃を放つ
・その強みを裏付けるエピソードは複数あるのが理想
・「他に強みは?」と聞かれたときのために、念のため答えられる「強み」も用意はしておく

ということになるでしょうか。一つの考え方として参考にしてみてください。

参考:
【面接が苦手な方へ】“凡人”が志望企業に受かるための「面接攻略の全て」

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