いかに準備を重ねて面接に臨んだとしても、また、それが一つの企業では大きく評価されたとしても、必ずしも全ての企業相手にうまくいくとは限らないのが採用面接です。
これは、もちろん様々な要因が考えられますが、一つ大きいのは、「面接官のタイプ」を見極められているかという点です。
すなわち、一つ一つをじっくり掘り下げてくる面接官もいれば、「一問一答型」の面接官もいるため、相手がどちらのタイプであるかを見極め、答え方を変えていかなければならないということです。
まず、一つ一つをじっくり掘り下げてくる面接官の場合。
多くの方はこういう面接官を想定して準備に励んでいるのではないでしょうか。
「この会社でやりたいことは?」
と聞かれ、
「災害報道に携わりたい」
と答えたら、
「どんな災害報道をしたい?」
「そう思ったきっかけは?」
「最近気になった災害報道は?」
などと、あらゆる角度からツッコミが入るイメージです。これで話が深まり、より具体的に自分を知ってもらえるようになるので、ちゃんと自分を知ろうとしてくれるこのタイプの面接官は、一部のいじわるな人も含めて、本来は受験生にとってはありがたい存在であるはずです。深掘りしてくれる面接を“圧迫”だと表現している方もいますが、それは単なる準備不足です。何をどれだけ深掘りされても良いアピールができるよう、しっかり準備しておきましょう。
そして問題なのは、後者の「一問一答型」のタイプが相手の場合。
つまり、「一つ答えたら、次の質問」といった具合に、深掘りがされないということです。一見、受験生にとっては楽なタイプだと思えるかもしれませんが、上記の通り話をなかなか深めることができず、かといってあまりにもダラダラ答えるわけにもいきませんから、かなりやっかいな面接官だと思って良いでしょう。
このようなタイプが相手の場合、深掘りされることを見越して、一度シンプルな返しをしてしまっては、それだけで次の質問に移ってしまうリスクがあります。
「この会社でやりたいことは?」→「災害報道に携わりたい」
極論、こんなやりとりだけで終わってしまう可能性があるということです。
ですから、このようなタイプだとわかった時点で、多少長くなったとしても、1度の回答である程度具体的な説明を含める必要があります。とはいえ、やはりどの質問にもダラダラと長く返していても、相手にとっては退屈でしかありませんから、端的に要点を伝えないといけません。このバランスを考えて、説明が必要な回答でも、長くても20~30秒に収まる範囲で答えられる準備をしておくべきだと思います。
このような“面接官のタイプ”というものは、面接の冒頭から見極めることはできず、やはり何度かやりとりを重ねなければわかるものではありません。とはいえ、基本的にはちゃんと深掘りをしてくれる面接官の方が多いことは間違いないといえるでしょう。
ですから、最初はハキハキと、できるだけシンプルな回答によって、自然なコミュニケーションにすることを心がけましょう。その上で、「全然深掘りしてくれないな」「すぐ次の質問に行っちゃうな」と感じたら、徐々に一度の回答に具体的な説明を含めるようにシフトしていくのが、現実的な対策になるのではないかと思います。
面接官のタイプによって話し方を変えるというのはなかなか難しいことのように思えるかもしれませんが、事前にこの2つのタイプがあると知っておけば、それを想定した準備はできるはずです。それだけで、面接官のことを気にせず自分のペースでしか進められない人よりも一歩リードです。
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