「最近読んだ本は?」「好きな本は?」なんて問いかけは、面接において今も定番の質問とされています。
しかし、昨今の就活生においては、「そんなに本読んでないだよな~」という人はさることながら、「全く本は読まない」という人も、決して少なくないことでしょう。
かくいう私も、恥ずかしながらあまり本は読んでいなかったのですが、付け焼刃の方法で出版社の面接を突破し、内定を獲得した経験があります。
今回は、「本なんか全然読んでないんだけど!」という方に向けて、「最近読んだ本は?」という質問をうまく切り抜ける方法についてお伝えしていきます。
「読んだ本・好きな本」の回答を用意しておく
普段本を読まない方の場合、「最近読んだ本は?」なんて急に聞かれたら、まともに答えられるはずもありません。
ですから、本を読まない人ほど、しっかりと準備をしておく必要があります。
その前提の上で、「どんな準備をしていけばいいのか」「やっぱり読まないといけないのか」という疑問について、以下でお答えしていきます。
どんな本?⇒アピールに繋がる本を!
まずは、面接官に問われたときの回答に使う本を決めましょう。
逆に言うと、普段本を読んでいる人なら素直に答えればいい質問であるものの、本を読んでいないがゆえに、回答に使う本を決めておかなければならないということです。
最近出ていた本や、好きな作家さんの本など、正直、何でもいいといえば何でもいいとは思います。
ただ、せっかく時間の限られた面接の中でのやりとりになるわけですから、何かしらのアピールには繋げたいところです。あるいは、そこまで言わずとも、「なぜその本を選んだのか」何かしらの理由はあった方がいいでしょう。
例えば、野球経験の話をエントリーシートに書いている人なら、最近出版された野球関係の本を挙げると、非常に自然では流れではありますし、また野球愛も印象付けることはできるでしょう。
あるいは、エントリーシートで、「気になるニュース」で事件について取り上げていたり、自身の経験したエピソードとして、社会問題を取り上げていたりした場合、そのようなジャンルに近しいノンフィクション系の本を挙げると、自然にキャラクターを伝えることにつながります。
逆にそのような硬派はESを書いておきながら、最近読んだ本としてコテコテの恋愛小説でも挙げようものなら、それはそれで面白いという見方もできるかもしれませんが、基本的にはESとのズレを感じさせてしまったり、ひどい場合は思考の浅さを印象付けてしまったりする可能性もあります。
または、単に最近流行っている本を、特段の理由もなく「面白そうだから読んでみた」「ふつうに面白かった」と答えるだけでは、何の印象にも残らない、意味のないやりとり(マイナスにはならずとも…)になっていまいますから、もったいないわけですね。
面接という場で答える以上、その本を取り上げる理由くらいは、何かしら用意しておきたい、という話です。
なお、本来は面接官もピンとくるような、面接官も知っているであろう本を取り上げる方が良いのですが、知らない本を取り上げたからと言ってマイナスになることはありません。その本を読んだ理由や、読んだ上での感想や学びなどの説明の仕方によっては、むしろプラス評価に繋がることもありますから、必ずしも有名な本にこだわりすぎる必要はないと言っていいでしょう。
小説でもいいのか
このときによく挙がるのが、「小説でもいいのか」という疑問です。
これについては、もちろん小説を答えても何の問題はないのですが、上記の通り「せっかくのやりとりには理由をもたせたい」という前提を考えると、小説は難易度が高いかもしれません。
又吉直樹氏の『火花』を読んだと答えたって悪いわけではないものの、それを読んだ理由としては、「面白そうだったから」「人気みたいだから」くらいしかないですよね。もちろんここに自分ならではの理由があるならそれでも良いと思うのですが、“それっぽい”ことを話すには難易度が高いと思われます。
一方で、ノンフィクション系の本(社会問題、事件、裁判、社会分析など)や新書などの場合、上記の通り「○○に関心があるから」など、理由が立てやすいわけですね。
こうした点から、特にこだわりがない場合は、わざわざ小説を選ぶ必要はないのではないかと思われます。
本を読む必要はない
では実際に回答に使用する本を決めたら、やはりその本は読まないといけないのかという疑問もわいてくることでしょう。
これはもちろん、読むべきであることに変わりはありません。
しかし、就活で日々忙しく過ごす中、普段読書週間もないような人が、一冊丸々読むというのは、なかなかにハードルが高いということも理解ができます。
そういう場合、邪道ではあるものの、一冊読み切らずとも、面接で回答をするには十分といえます。
なぜなら、面接中では、本当に読んでないと答えられないレベルの深掘りは基本的に起こらないからです。
仮に面接官側が、本当に読んでいるのかを確かめたいと考えたとしても、せいぜい「どこがおもしろかった?」「印象に残った部分はある?」くらいのことでしょう。
時間の限られた面接中に、その一冊だけのために長時間を割こうとする面接官なんていませんし、あるとしたら、別の本を挙げさせるくらいのことでしょう。
そもそも、直近で読んだ本の内容って、そんなに深く話せるものでしょうか?
よほど印象に残った本でもない限り、細部まで細かく内容を覚えているなんてことはないのではないでしょうか。
ですから、本当に読んでいたとしても、自然な会話という意味では、「どこがおもしろかった?」「印象に残った部分はある?」くらいのレベルの質問しか成り立たないんです。
そう考えると、それくらいの質問になら、きちんと全部読まずとも、目次やあらすじ、実際の口コミなどを見れば、おおよその回答は用意できることと思います。
これは決して、「本なんて読む必要はない」と言っているわけではありません。あくまでも人生のかかった就活を乗り切る現実的な手段として、現にお困りの方は検討されても良いのではというお話です。その点は誤解のないよう、お願いいたします。
なお、出版社ほか、マスコミ業界を受験される方の場合、より本に関する質問が多用化し、より深掘りされる可能性があります。
これについていかにして“付け焼刃”で乗り切るかは、こちらの記事を参考にしてみてください。
出版社 内定のツボ②「好きな本は?」「作文試験」をうまく切り抜ける方法
面接直前にお読みの方へ
もしかしたら、面接直前になって、「あ、本についても聞かれるかも!」と思ってこのページをお開きになった方もいるかもしれません。
そういう方でもやることは同じです。
今この記事を見た瞬間、とりあえず何か一冊を決めて、簡単な回答だけできるように準備をしておきましょう。
時間がなければ、本の選択を戦略的に考えすぎる必要はないですし、あまり作り込んだ答えを用意しておく必要はありません。
この質問の回答で大きく評価が上がるということはそうないですし、逆に怖いのは、「全然本を読んでないやつだな」と思われることです。
ですから、最低限、まともで自然なやりとりができていれば、それで及第点ではあるのです。
直前に気づいたとしても、焦ることなく、冷静に備えておいていただけたらと思います。
「最近読んだ本」「好きな本」は聞いてはいけないという噂
読んだ本についての質問は、「思想や信条の把握につながる」などとして“不適切な質問”とする説がじわじわ広まっているようですが、読書までそこにこじつけるのは、さすがに無理があると言わざるを得ないでしょう。
「最低限の読書はしているか」「どんなことに興味を持っているのか」を知るために、今の面接でもふつうに聞かれる質問ですから、準備はぜひしておいてください。
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