出版社 内定のツボ① 2種類の“差別化”とデジタル戦略

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「高い倍率」をどう考えるか

出版社の就活においてまず意識しなければならないのは、何より採用人数の少なさでしょう。講談社・集英社・小学館の大手3社でこそ30人くらいの規模感で採用しているものの、それ以外はほとんどが10人以下の採用規模になっています。文芸・エンタメ系で上記3社に次いで規模の大きい文藝春秋や新潮社でも4、5名程度ずつ、東洋経済新報社等のビジネス系出版社でも、多いときでせいぜい10名程度行くかどうかといったところでしょう。

そのため、当然ながら、倍率は極端に高い会社ばかりです。ですから、新聞社やNHKなどとは戦い方が変わってきます。残酷ながら、”良い人を残す”というより、“だいたい落とす”という色が強い選考を勝ち抜いていかなければならないのが出版就活といえるかもしれません。

とはいえ、決して恐れる必要はありません。テレビ局と同じように、「とりあえず受けてみた」系の受験者も多いため、しっかりツボをおさえた戦い方をすれば、選考は進んでいけるはずです。

また、社名にさえこだわらなければ、選択肢は無数にあります。例えば東京都内でも出版社はかなりの数があり、たとえ無名な会社でも、「再販売価格維持制度」(出版受験者は必ず知っておくべき言葉です)によって、大手とも変わらない一定の競争力をもって本をつくることができます。

本記事では、建前上の”就活術”的な話は省き、出版社の内定に近づくための“ツボ”となる情報について、お伝えしていきたいと思います。

 

出版社における“差別化”の考え方

これだけ採用人数が少ないからこそ、まず大事な考え方が、「差別化」です。主には「他の受験者といかに差別化を図るか」ということになるのですが、実はもう一つ、「なぜ御社なのか」という点においても、明快でかつアツい説明が必要です。

 

ライバル会社との差別化

出版社と一口にいっても、大まかな得意ジャンルごとに特色が分かれています。有名どころであれば、娯楽系に強い集英社や講談社、文芸系に強い文藝春秋や新潮社、ビジネス系に強いダイヤモンド社や東洋経済新報社などなど。ファッション系の雑誌に強かったり、女性向けに強みを持っていたり、あるいは学習用参考書の中でも、高校受験や大学受験、特定の検定、社会人向けの教養系書籍などがあったりと、細かく見ていけばキリがないほどです。

採用人数が極端に少ない業界だからこそ、出版社にこだわりのある方なら、上記を含めて小規模の会社までくまなく受験することになるかと思います。

キー局を受験するならキー局間の比較、全国紙を受験するなら全国紙間の比較という形が中心になるかと思いますが、「地方局」「地方支局」という概念のない出版社を数多く受ける場合、同じエリアにあるすべての出版社が比較対象になるというよりかは、それぞれが意識し合っている会社との差別化が強く求められる傾向にあります。

「どうして集英社じゃなくて講談社なの?」

「どうして文藝春秋じゃなくて新潮社なの?」

どこの社にも、必ず意識し合っているライバル社がいるはずです。あるいは、社としてのライバル会社の幅は広かったとしても、志望する部署が出している媒体に限れば、「週刊女性vs女性セブンvs女性自身」「BRUTUS vs Pen」といった感じで、必ずライバル誌があるはずです。そのようなメディアとの比較をして、「それでも御社がいいんです!!」と強く伝えられるアピールの仕方を考えることがポイントです。新聞やテレビよりも比較がしやすいような気もしますが、「業界の中でのその会社の良さ」だけではなく、「ライバル会社と比較してのその会社の良さ」まで深く考えておかなければならない分、意外に繊細な準備が必要になります。特に、そのライバル社よりも規模や部数が小さい方を受験する際は、ライバル社、ライバル誌の分析もかなりの程度で求められることになりますので、注意しましょう。

 

 

他の受験者との差別化

上記よりも重要度が高いのが、他の受験者と比べて自分をどう差別化していくかということです。特に採用人数が少ない出版社は、選考が進むにつれ、企業側は「良い人を残す」というより、「基本的には落とす」という基準で考えざるを得なくなってきます。採用できるのはわずかな人数に限られてしまうわけですから、仕方ないことではありますね。

そうなると、自分の能力や熱意をいかにアピールできたって、それが他の受験者より優れていなければ意味がないのです。

でも、こうした視点で突き詰めて考えられている受験者は意外に少数。“差別化”を意識して自己PRを組み立てるだけでもかなり有意な立場に身を置けますから、はじめから恐れることなく、前向きに自分らしさの伝え方を模索していきましょう。

ここで重要になるのは、「〇〇のやつだと印象づける」ことや「好き・こだわりを見せる」ということになってきます。例えば「講談社は“一芸”試験」だなんて冗談でいわれることがありますが、あながち間違いとは言い切れず、それだけ個性を重視しているということだと思います。限られた社員で、個性ある出版物を発行していかなければならないのですから、内定者にもそこを求めているのは当然といえるでしょう。個性をアピールして差別化を図るということについては、具体的にはこちらの記事に書いていますので、参考にしてみてください。

【マスコミ就活】”差別化”以前に”賢く見せる”ことが大前提

【マスコミ就活】他の受験者と“差別化”するためのポイント

 

デジタルの素養を見せておく

デジタル時代のアイデアを複数用意

もう一つ重要な要素が、デジタルの素養を見せておくこと。

言わずもがな、書籍も含めて紙媒体の衰退は留まることを知らず、急激なデジタルシフトの波に何とか食らいつこうとしているのが出版業界です。

これに成功しつつある市場が、「電子漫画」。スマホで漫画を読むという行為が消費者にしっかり根付いてきて、コミックに強い集英社や講談社はここ数年で最高益を更新し続けていたりと、いわゆる“出版不況”の時代とは思えない業績になっています。

 

ここまで社をけん引してきた世代の人たちは、これから入社する世代の人材に対して、まさに新たなデジタル時代をけん引してくれることを期待しているわけです。そう考えると、純粋に良いコンテンツをつくれそうな期待感を与えることが何より重要であることは変わらないものの、そこに「デジタル時代において活躍できるイメージを与えること」の重要度が高まっていると考えられます。

ですから、受験する会社における、デジタル化のアイデアをできるだけ考えておきましょう。受験生“ごとき”で、実際にビジネスに結び付く案が出てくるわけがないのは、相手も百も承知。大事なのは「面接官に期待感を与えること」ですから、受験者である間は、実現可能性など一切無視して、大きなアイデアを、できれば複数準備して面接に臨みたいところです。

 

デジタル軽視はNG

しかしここで注意したいのは、決して「紙よりデジタルの方が好き」という姿勢は見せないこと。

出版社は、今でこそデジタルシフトが強いられている時代で、マンガをはじめとして、一部ではそれが大成功しているところもありますが、もともとは「紙」で成長してきた会社であることは言うまでもありません。まして、面接官になるであろう“おじさん世代”は、デジタルデバイスをうまく使いこなせていない人も多く、デジタル課を重要な課題をとらえながらも、まだまだ紙への愛の方が遥かに大きい人の方が圧倒的に多いです。

そういう人から見て、「デジタルに素養がありそう」な受験者なら、期待ができそうという印象が持たれることと思いますが、「デジタル世代の人間だな」「紙は非効率的なものだと思っていそうだな」と思われると、これはもう“鼻につく若造”に映ってしまうわけです。

 

デジタル時代における適正は見せつつも、根本では紙が好きという姿勢を見せることが、最も有効な「デジタルアピール」に繋がるのではないかと思います。

【出版社】内定のツボ② 「好きな本は?」「作文試験」うまく切り抜ける方法

に続きます。

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※出版社受験の壁「三題噺」についてはこちらも参考にしてみてください。

【三題噺】ロジカルな思考で“それっぽく”仕上げる!苦手な人でも突破できる書き方・考え方

 

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