いわゆる「就活終われハラスメント」のことのようですが、「内定あげるから他者を辞退して」というのは、昔からずっとやられてきたことです。ひどいものなら、「内定あげるから、今ここで○○と××に電話して辞退して」というのもあります(私も経験者です)。
当事者としてこう言われると、「まあいいか」と思ってしまう方も多いかもしれませんし、あるいは「ウソをつくわけにはいかないから・・・」と本命企業をあきらめてしまう人もいるかもしれません。
ですが、こんな企業側の都合にあわせる必要は一切ありません。
その理由と、実際の対処法についてお伝えしていきます。
目の前の内定が最優先
まず前提にしていただきたいのが、就活においては、目の前の内定が最優先であるということです。
採用する側は、一企業の従業員が、仕事の範囲でやっているだけです。採用人数が1人などでない限り、企業全体で見たら、あなた一人で採用計画が狂い大損害を被るなんてことはありません。せいぜい、「1人欠員どうしようか」などと、仕事の範疇の中で担当者が悩むだけです。
一方、こちらは人生がかかっているんです。
企業の採用戦略の都合で、人生が左右されてしまってたまるかという話だと思いませんか?
企業側に気をつかって、自分の就活にブレーキをかける必要はありません。
この場合は、まずは目の前の内定をもらうことを優先して、「わかりました。辞退します」と約束してしまえばいいのです。
とりあえず内定はもらっておいて、その上で、本命だダメだったらそのまま入社すればいいだけですし、もし本命に内定をもらえたのなら、それに越したことはないですよね。
辞退をするときにちょっと気まずい思いはするかもしれませんが「正直迷いがあって、本当は辞退できていませんでした…」「すみません、悪気はなかったんですけど…」など、後からどうとでも言えます。
入るわけでもない企業に対する言い訳なんて、後からゆっくり考えればいいんです。
企業側も必死なのはよくわかりますが、「オワハラ」などという、就活生を苦しめるような仕打ちを平気でしてくるような企業に対しては、自分の人生に影響を与えてまで、配慮する必要はないのです。
まだ就活が続いている間は、とにかくより望ましい内定が得られるよう、全力を尽くすべきです。
二枚舌のデメリットは「気持ち」だけ
上記のような“二枚舌外交”をするとなると、その行為に問題がないのかと、不安に思われる方もいらっしゃるかと思います。
ですが、これにはまったく問題はありませんので、ご安心いただけたらと思います。
法的問題はなし
まず、当然ながら、法的に問題はありません。
どちらかといえば、内定を条件に他社の就活を辞退させる側にこそ、度を超えると脅迫罪や強要罪などに問われる可能性があるくらいです。
仮に内定承諾書のようなものにサインさせられたとしても、それに法的効力はないというのは有名な話です。
この点では、心配する必要は一切ないと言っていいでしょう。
バレることもない
加えて、「他社を辞退するというウソをついた」ということが、実際に入社することになった企業にバレるのではないかという懸念。
これも、心配する必要はありません。
そもそも、企業側が得た就活生の個人情報は、それ以外の利用の仕方をしたら、それこそ違法という話になりかねません。
例え辞退した企業の競合に入社することになったとしても、「こいつはウソをついたやつだぞ」などと嫌がらせをするなんてことはありえません。上記の通り違法となりうる行為ですし、そもそも社会人はそんな意味のないことをするほど暇ではありません。
それでも、どうしても心配だという場合には、入社する先を伝えなければいいだけの話です。
事実、私も内定先を辞退する際に、実際とは違う就職先を伝えたことがあります(当事者となると不安になるものですよね…)。
本当にそこに入社するのかを確認する術も理由もありませんし、してしまったらそれこそ問題行為です。
ですから、「就職先にバレて悪影響が…」という心配をする必要は、一切ありません。
「今辞退して」への対処法
やっかいなのは、「内定をあげるから、選考が進んでいる会社を、今ここで辞退してくれ」という話があったときです。
こんなことをいきなり言われてしまったら、じっくり考えることもできず、言われるがままに他社の辞退をしてしまいそうです。
いくら採用に苦労していたとしても、就活生の足元を見た、本当に卑怯なやり方だと思います。
既に落ちた企業に電話をかける
かくいう私も、とあるマスコミ系企業からそう言われた経験がありました。
ですが、その時はなんとかやり過ごすことに成功し、他社の選考に影響を与えることのないまま、就活を進めることができました。
ではどのような手法を使ったのかというと、
既に落ちていると思われる企業に電話をかけて、「辞退する」と伝える
ということです。
就活で何社か受けていれば、通過連絡が来なかった企業というのは、誰しもいくつかあるはずです。
実質落ちていることは明らかなわけですが、こういう企業に、わざわざ連絡をするのです(笑)
問い合わせ窓口となっている番号(たいてい人事部でしょう)に電話をすると、基本的には「確認します」で電話は終わります。
あるいはその電話中に確認がとれたとしても、さすがに「電話相手との話まで聞かせろ」とは言われないでしょう(さすがに音量は調整してください!笑)。
ですから、相手との会話内容はどうでもいいので、最悪の場合、受けてもいない企業にかけて、一方的に「すみませんが辞退させていただきます」とだけ言って切ってしまうのでもいいのです(電話対応者には迷惑をかけてしまいますから、後で心の中で謝りましょう…)。
重要なのは、とりあえず他社の選考に影響を与えず、その場の内定を獲得することです。
「いざというときにはここに電話しよう」と予め決めておくと、心の余裕が持てるかと思います。
まあ、それでもそのときになると緊張するものなのですが、無理やり他社を辞退させられるよりは遥かにマシなはずです!
保護者や友人への電話ではダメ?
ちなみに、こういう話のときによく言われるのが、保護者や友人にその役を担ってもらうということです。
私個人としては、その手法はオススメしていません。
というのも、個人に頼ってしまうと、こちらがコールしたタイミングで電話に出てもらえる確証がないからです。
面接が終わり、だいたいいつ頃にその電話ができるのか、あらかじめ正確に把握することはできませんし、時間が予測できたとしても、どんな瞬間でも電話を逃さないようにするなんて、ふつうに生活をしていたら、なかなか難しいことです。
しかしながら、企業の窓口に電話をした場合、業務時間外でもない限り、電話に出ないということは、基本的にはないはずなのです。
ですから、不自然になる可能性を排除しておくという意味では、企業相手にかけるというのが最も現実的ではないかと思うのです。
就活に「したたかさ」は必要
ということで、企業側の都合よりも、自分の人生を最優先に考えようということをお伝えしてきました。
ここで結論的なことを述べるとするなら、「就活にはしたたかさも必要」ということです。
世の中のあらゆることに通ずる話かもしれませんが、なんでもかんでも正直にいると、時に損をしてしまうこともあるでしょう。
まして、それが「就活」という、企業側からしたら「自分たちの採用戦略しか考えていない」ような世界であれば、なおさらです。
実際に社会人として仕事をしていくとなると、どんな業種や職種だとしても、多かれ少なかれ自社都合に基づいて、したたかに動かなければならないシーンが出てきます。
無駄に損をしていまうことを防ぐためにも、時には必要な「したたかさ」もあるということを、最後にお伝えしておきたいと思います。
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